今回、紹介したい映像作品は「サマータイムレンダ」
- 気になるあらすじ
- 知りたい映像作品ジャンル
- 3つの楽しみポイント
- 関連動画
- 視聴方法
- 主なキャラクターについて
- ピョートル・デミアノヴィッチ・ウスペンスキー
- 「なぜそなたは通り過ぎてわれらを置き去りにするのか、このほのかな空虚で荒涼たる巨大な涙の谷に」
気になるあらすじ
物語は、和歌山市・日都ヶ島という地域を舞台に展開します。
主人公の網代慎平は、幼馴染の小舟潮の訃報を聞き、2年ぶりに故郷に戻ります。
潮の死には不審な点があり、他殺の可能性があると感じた慎平は、影の病と呼ばれる風土病の存在を知ります。
この病気にかかった人々は、影を見ることができ、その影に触れると死んでしまうと言われています。
慎平は、潮の死の謎を解明するため、タイムリープの能力を持つことを発見します。
彼は過去に戻り、未来で起こる事件を未然に防ごうと行動します。
しかし、影の正体やその背後に隠された真実は複雑で、ハラハラドキドキの展開が続きます。
最初の設定や始まり方などはアナザー等のような作品の不気味さがあり惹きつけられました。
存在が俯瞰したようなシーンは神霊狩を思い出しました。
主人公の「俯瞰して考えろ」というセリフの言い回しを多く使用するところが「チェス盤をひっくり返すぜ」といつも奮闘しながら主人公が戦う作品であるうみねこのなく頃にを思い出しました。
そして、必死に主人公が思い人のために駆けずり回る姿はシュタインズ・ゲートを思わせます。
本作がホラー感より強大な敵との戦闘シーンが印象的な作品で、観やすい作品になっていると感じました。
知りたい映像作品ジャンル
ジャンル : SFホラーサスペンス
原作 : 田中靖規さんのマンガ
放送開始 : 2022年~
3つの楽しみポイント
①サスペンスバトルの緻密な設定
この作品は青春漫画ではなく、サスペンスバトル漫画として展開されています。
物語は数百年前から人間と「影」との戦いを描いており、前半は「影」の正体を突き止めるサスペンス要素、後半は「影」と「ループ」の特性を活かしたバトルが展開されます。
②「影」と「ループ」の掛け合わせ
物語のキモとなる「影」と「ループ」の2つの設定が絶妙に組み合わさっています。
影は人間の情報をスキャンしコピーできる能力を持ち、ループは死に戻りの能力を持っています。
この2つの要素が複雑な戦術や心理戦を生み出し、読者を引き込みます。
③感情移入できるキャラクター
特にヒロインのウシオは影としての潜在能力が高く、感情移入しやすいキャラクターです。
彼女の能力を活かして仲間と共に戦う姿勢が感動的です。
関連動画
視聴方法
主なキャラクターについて
幼馴染である小舟潮の葬儀に参列するため、2年ぶりに故郷の日都ヶ島へ戻ってきた17歳の少年。
客観的に物事を俯瞰する癖があります。
小舟潮(CV:永瀬アンナ):
フランス人である父譲りの金髪が印象的な17歳の少女。
海難事故で命を落とし、幼馴染の慎平のことが好きでしたが、想いは伝えられていません。
小舟澪(CV:白砂沙帆):
潮の実妹で、高校1年生。
運動が得意で水泳部に所属しており、健気な一面を持っています。
南方ひづる(CV:日笠陽子):
スーツと眼鏡、長い黒髪が印象的な長身の女性。
14年ぶりに島を訪れ、謎めいた存在です。
根津銀次郎(CV:浦山迅):
老年の猟師で、日都ヶ島に住んでいます。
影について何か知っているような素振りを見せています。
菱形窓(CV:小野賢章):
慎平の幼馴染で親友な17歳の少年。
医者を目指して勉強中で、正義感が強いです。
菱形朱鷺子(CV:河瀬茉希):
窓の実父で、日都ヶ島にある唯一の病院「菱形医院」の院長を務めています。
菱形青銅(CV:大塚明夫):
潮と澪の実父で、フランス出身。
慎平にとっては養父であり、両親を失った後に迎え入れてくれました。
日都ヶ島の駐在所の警察官(CV:上田燿司):
ノリが軽い警察官で、日都ヶ島の治安を守っています。
日都ヶ島北部にある日都神社の宮司で、物腰が柔らかく接しやすいですが、話が長いのが玉に瑕です。
ピョートル・デミアノヴィッチ・ウスペンスキー
本作のあるシーンで登場する実在の人物です。
1878年にロシアのモスクワで生まれました。
彼はジャーナリストとして活躍する一方で、神秘学、数学、哲学などの研究を行い、著作を残しました。
特に神秘思想家であるグルジエフとの出会いは彼に多大な影響を与えました。
ウスペンスキーはロシアの文学界と前衛芸術にも大きな影響を与えた人物です。
ウスペンスキーの主な著作には以下のものがあります:
『奇蹟を求めて』:
この著作はウスペンスキーとグルジエフの出会いと、グルジエフ思想の理論的側面を知るうえでの重要な文献です。
『宇宙の新しいモデル』:
この本では宇宙観や人間の存在についての新しいモデルを提案しています。
『ターシャム・オルガヌム』:
第3の思考規範とも呼ばれ、ウスペンスキー的な明晰さを特徴としながらも、グルジエフ思想でもなく、「ターシャム・オーガナム」でもない思想が追求されています。
『Strange Life Of Ivan Osokin』(イワン・オソキンの不可思議なる人生)
物語は1902年4月のモスクワ、クールスキー駅から始まります。
主人公のイワン・オソキンは、人生の選択を誤り、行き詰まった状況に感じています。
彼は過去に戻り、人生をやり直す機会を得ます。
物語はオソキンの人生の転機や過去の出来事を振り返りながら進みます。
彼は自分の過ちを修正し、運命を変えるために奮闘します。
しかし、果たして成功することができるのか、その結末はどうなるのでしょうか。
この小説は、青春・恋愛小説の体裁を持ちながら、ループものの要素を含んでいます。
失敗し続けた男の話なのですが、最後には何かを感じて前を進んでいく姿は確かに本作と重なるところがあるかもしれません。
ただ、この小説では主人公の男は本作のようにはうまくいかなかったストーリー構成でした。
本作での物事を俯瞰して考える主人公であればタイムリープした際にどう動けば物事が変化するのかを考え続け結末を変えることができるというこの小説の一つの答えを出したような作品です。
「なぜそなたは通り過ぎてわれらを置き去りにするのか、このほのかな空虚で荒涼たる巨大な涙の谷に」
本作のあるシーンで言ったセリフです。
イングランドのロマン派詩人パーシー・ビッシュ・シェリーによって1819年に書かれ、その後1824年に死後の詩として出版されました。
この詩は、スペツィア湾を航海中に嵐に溺れたシェリーの感情を表現しています。
彼の詩は美しさと哲学的な深みを持ち、多くの読者に感銘を与えています。
この詩を解釈をするならば、
孤独と無力感
詩の中で「そなた」は神や運命を指し、人々はその存在に対して無力であることを感じています。
涙の谷は孤独や絶望を象徴しており、神に見捨てられたような感情を表現しています。
自然と人間の関係
詩は自然と人間の関係を探求しています。
自然は美しく、荒涼としているが、人々はその美しさを理解できないことがあります。自然との調和を求めているようにも読めます。
ロマン主義のテーマ性
ロマン派詩人は感情や直感を重視し、自然と神秘的な要素を詩に取り入れました。
この詩もその伝統に従っています。
本作では神に対してではなく、時間に対して言ったセリフなのかとも思いました。
置き去りにしてきた違う世界線の悲しい結末に対してなのか、本筋の世界線での流れていく現在に対してなのかはわかりませんが、印象深いセリフでした。