今回、紹介したい映像作品は「平成狸合戦ぽんぽこ」
気になるあらすじ
昭和40年代の多摩丘陵を舞台に、人間による開発によって住む場所を奪われそうになった狸たちが、変化術を使って人間に対抗する物語です。
物語は、多摩の狸たちが総会を開いて開発阻止を決議するところから始まります。古狸の火の玉おろくから変化術を教わった若手狸たちは、建設工事への抵抗を始めます。トラックを事故に追い込んだり、地蔵や狐に化けて信仰心に訴えたり、お化けにばけて人間を驚かせたりします。
しかし、開発は進み続けます。二年目には若手狸から選ばれた玉三郎と文太がそれぞれ四国と佐渡に派遣され、名のある化け狸に助力を乞います。三年目には四国から帰ってきた玉三郎と三長老の指導のもと、狸たちは具現化した百鬼夜行でニュータウンを襲う妖怪大作戦を決行します。しかし、人間には拍手喝采のイリュージョンにしか映らず、効果はありません。
四年目、佐渡から帰ってきた文太は故郷の変わりように愕然とします。残った化け狸たちは最後の力を結集し、かつての美しい多摩丘陵の幻を人間たちに見せつけます。その後、狸たちはちりぢりになり、化学を使える狸は人間として暮らすようになり、化けることの出来ない狸達は未だ自然の残る町田へ移り住みます。
知りたい映像作品ジャンル
ジャンル : ファンタジー
原作 : 狸の平家物語のオリジナルシナリオ
放送開始 : 1994年~
3つの楽しみポイント
①狸たちの知恵
人間の自然破壊によって住む場所を失いかけた狸たちが、伝統的な変化術である「化学」を使って人間に抵抗する姿がユーモラスに描かれています。狸たちの様々な化け方や妖怪大作戦などは、観る者を驚かせたり笑わせたりします。
②豪華声優陣
狸たちのキャラクターや声優陣も魅力的です。正吉やおキヨ、権太や玉三郎など、個性豊かな狸たちが活躍します。声優陣には、古今亭志ん朝や三木のり平、桂米朝や桂文枝など、落語家や漫才師が多く起用されています。また、歌川国芳や葛飾北斎などの妖怪画を再現した百鬼夜行シーンでは、林原めぐみや神谷明などのアニメ声優が多数参加しています。
③自然についての見方が変わる
狸たちの生き様や人間との関係は、現代社会の問題やメッセージにも通じます。環境問題や開発問題、伝統文化や自然との共生など、多摩丘陵を舞台にして深く考えさせられる作品です。
高畑勲監督の作家性が随所に感じられる作品です。高畑監督は自身も多摩ニュータウンに住んでいたことがあり、開発による自然破壊や人間社会の変化を目の当たりにしていました。また、日本各地に伝わる狸や妖怪に関する民話や伝承を参考にしています。高畑監督の愛情とメッセージが込められた作品です。
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視聴方法